脱水
水分が足りないと、意識の張りが落ち、動きが鈍くなります。
できることを、もう一度増やす。介護が必要になっても、あきらめなくていいことがあります。
施設でお話を伺っていると、皆さまがおっしゃることは、だいたい次の4つに行き着きます。
この願いに応えるために、周陽福祉会は自立支援介護に力を入れています。
自立支援介護とは、本人の自主性を回復し、人間らしい生活の自由を手に入れるためのアプローチです。
介護が必要な状態になる背景には、老化そのものよりも、次の4つが重なっていることが少なくありません。いずれも、手を入れれば変えられるものです。
水分が足りないと、意識の張りが落ち、動きが鈍くなります。
食べる量が減ると、体力も気力も続かなくなります。
お腹の調子は、気分にも生活のリズムにも直結します。
動かないでいると、動けるだけの力が失われていきます。
つまり、水分・食事・排便・運動という当たり前のところを整えることが、いちばん確実な近道だということです。
周陽福祉会が、毎日の暮らしの中で続けていることです。特別な機械や訓練ではなく、ひとつひとつは地味なことばかりです。
水分は、身体の細胞を活発にし、頭をはっきりさせます。お茶に限らず、コーヒー・ジュース・牛乳など、その方が無理なく飲めるものを選んでいただきます。
時間・量・温度・コップの大きさ・お好み・これまでの習慣まで、お一人ずつ合わせた水分プランを立てています。用意している水分メニューは50種類ほどあります。
低栄養は、寝たきりや認知症の背景になるといわれています。量を確保するだけでなく、「噛める食事」であることを大切にしています。
下剤に頼らず、十分な水分と適度な運動で、自然なお通じを目指します。お腹の調子が整うことは、日々の気分や生活のリズムにつながります。
動けば喉が渇き、お腹が空きます。つまり運動は、水分と食事の量を自然に引き上げます。お通じにもつながり、4つのケアが噛み合っていきます。
新しく入所される方のうち、ご自分で歩ける方はおよそ3割です。それでも、施設全体で歩ける方の割合は次のように推移しました。
| 時点 | 平成25年8月 | 平成27年8月 | 平成29年8月 | 令和元年8月 |
|---|---|---|---|---|
| ご利用者数 | 79名 | 80名 | 76名 | 80名 |
| 歩行率 | 72% | 81% | 83% | 86% |
「歩けなくなったら、それまで」ではありません。入所してから歩けるようになった方がいらっしゃいます。要介護5から要介護1まで改善された方もおられます。
排泄の失敗は、ご本人の自信を最も深く傷つけます。「誰かにお願いしておむつを替えてもらう生活」から抜け出していただくことを、私たちは最優先の課題として考えています。
おむつではなく、トイレ、もしくはポータブルトイレで排便していただくこと。これを入居者全員の日中おむつゼロという目標として掲げ、日々取り組んでいます。
身体が良くなることは、目的ではなく手段です。
自立支援介護が目指しているのは、歩けるようになること自体ではありません。ご本人が「こうしたい」と思ったことを、ご自分で選べるようになること。その方の尊厳を守ること。私たちが見ているのは、そちらです。
自分でできることが増えていくと、身体の機能が上がるだけでなく、気持ちの面でも意欲が戻り、笑顔をたくさん見せてくださるようになります。
周陽福祉会が最終的に目指しているのは、入居されている方が、ご自宅へ帰れるようになることです。すべての方に叶うことではありませんが、そこを目標に置いて日々のケアを組み立てています。